Exhibition












































- INTRODUCTION -





“自然における存在の連続性を探求する”

すべての生命は連続性の中でこの世界を充満させている。
しかし、世界 / 自然と社会を遠く分け隔て、全てを循環可能なものへと還元する
近代以降の経済システムによって、私たちの空間認識は希薄化され、
この自明の事実は往々にして忘れられている。

近来、私たちの生活様式は大きな変化を迎えた。
それと同時に、自らが存在する空間――鳥の囀り、風に揺れる木々、陽だまりの匂い、
あるいは(それ以上に)自分の周りを漂う“空気”――に敏感になった。

こうした知覚の変化の先に、私は1つの希望を感じている。
経済復興に環境問題解決を取り組むグリーンリカバリーが欧州各国で試みられているように、
「自然と社会の二分法」以前に立ち帰る「非-近代」、
あるいは選ばなかった「もう一つの近代」へと歩みを進め、
社会を再構築する岐路に私たちは立っている。

自然との繋がりを回復し、周囲に息づく生物圏の中での自らの存在を再認識する――
この展示が、そうした世界との対話をなすための瞑想のきっかけになることを願う。












































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2021,  Japanese paper, Drawing paper,Water color paper, Inc, Acrylic, Acrylic mediums,  600×423 mm.





“不可視な領域への入口 ー“


精神と物質の世界の裏に今一つの世界が開け、矛盾しながら映発する境界のない抽象的な空間性の輪郭を明確なものとします。
(『日本的霊性』 鈴木大拙 著 より)

 

自然には明確な境界線や直線は存在しません。そこにはただ、無限の空間性が存在するだけです。
そうした自然界における不明瞭な境目の再現を試みました。
ニ対の作品を組合わせることで、その輪郭は縁取られ絵画空間の中に"ある存在"を感じることが出来るでしょう。


1枚目のコラージュ作品では、作品は自然界で出会った風景や植物、
空気や匂いから感じ取ったその土地の心象風景の朧げな境界線をなぞると同時に、それを幾何学へ変換し、フォルムを制作。
それから日本画の技法にある垂らし込みなどを応用したさまざまな模様の素材を描き、それをフォルムへとコラージュをした作品となります。(上段)


2枚目のペインティング作品においては、完成したコラージュを模写とし再現しながらも、不鮮明な空間の境目や奥行をより深く表現しています。(下段)

この作品は、空間に在る「無」の輪郭を認識する行為であり、知覚不可能な存在という矛盾に対して、
1つの窓をしつらえる試みと言えるでしょう。



 






















“Icon of the Dawn”

「夜明けの偶像」
2021, HD Video, Display, 1367 × 838 mm.
Collaboration with Naoya Hirata




“未来の原風景を示唆するモニュメント”


例えば「土偶」について考えてみます。土偶がその時代になぜ存在しなければならなかったかという必然性について。
それは一見、人間が生物としての生命活動を継続させるためには不必要な異物にも思えますが、
その時代の彼らにとっては生きていくために確かに” 必要なもの” だったのだと仮定します。
それは極めて精神的な価値の試行錯誤であったかもしれません。

狩猟採集時代、私たちの祖先は、自然に畏怖の念を抱きながらも、調和する努力をしながら生きていました。
しかし、弥生以降に発生した農耕社会への移行によって、自然の中で生きていた思想は、
現代の資本主義の原点とも言える、代替可能な「労働力」の陰に身を潜めていった事が制作物の変化などから想像ができます。

この『夜明けの偶像』は、縄文時代、或いはさらに遠くの古代を生きた人々の精神性へと思いを馳せ、
自然と調和するもう一つの近代の到来を告げる未来のモニュメントです。

象られた有機的なシルエットは、動物・植物・鉱物というすべての存在を貫くトーテミズムを想起させるでしょう。
そして、この偶像が生まれる瞬間、あるいは砕けちるその刹那は、新しい世界の訪れを予告するのです。





























“A point /Memory and perception "

「地点/記憶と知覚」
2021, Motion instllation , Brass, Cotton, Mineral, Copper carbonate, Manganese carbonate, Soil
1367 × 838 mm.





“ささやかに感じとれる知りえない記憶 ー”


地層の成り立ちの再構築を通じて、私たちの足元に眠る古層の記憶 / 色へと回顧します。
様々な標高差の場所から採取した鉱物や土、そして釉薬などに用いられる鉄分を用いて、
地層を再現したドローイングと様々な土地で撮影をした記録をファウンドフッテージ的に編集した映像作品です。


長い時間をかけて生成した鉱物の断片や鉄分を含んだ石、
それらは風化し、植物との関係を持ちながら土となりました。

様々な環境が成して来た営みの片鱗を遡る試みであり、
脳裏に浮かぶ心象風景は記憶の片隅に散らばる風土や文化、歴史そのものへ思い巡らすように昇華されます。


私たちが自然界に存るとき、目に映らない何かの存在を感じとることがあります。
それはその土地の何なのか、情景、匂い、それとも空気そのものなのか……

身体が必然と感じているのは、私たちが今立つその地点の真下に眠る記憶の断片かもしれません。




























“Great Chain of Beingness”

「存在性の大いなる連鎖」

2020, Photograph, Organic electro-luminescence monitor, 1534 × 910 mm.
Collaboration with Takashi Kawashima







“世界の連続性を感じさせるビジュアル・ワーク”


原始、世界は「連続性」の中で理解され、有機物と無機物は直線上で緩やかに連鎖し、
種で区切られた明確な線引きは存在しないとされていました。

東洋思想においても、相即相入(全てのものは互いに溶け合っている)というような類似した思想が存在します。
相即相入という概念は、華厳教の中で多く語られてきた思想の1つです。
華厳教は西インドを始まりとして、中国、そして日本へと伝来しました。

日本に渡ると、自然や芸術とのつながりの中で展開され、日本独特のアニミズム的な思想や神道の影響を受け発展し、
自然の景色を描いたものが曼荼羅となり、自然の中で巡礼を行うことも、修行として重要な役割を占めていたそうです。

それらの自然をより小さく、より美的なものとして心のうちに取り入れた形が
日本の庭づくりや盆栽などへ発展していったとされています。

この「存在性の大いなる連鎖」は相即相入の思想を元に、
私たちが再び構築すべき、新しい自然との関係性を模索しています。

































“Unexplored Peak # 1」- Mineral Project -”

「ミネラルプロジェクト - 未踏峰#1」

2021, Mineral(Abalone shell), Acrylic mirror plate, Acrylic dome, Driftwood, 190 × 80 mm.







“祈りの極点を啓示するオブジェクト”


自然のリズムは調和と美学を必然的に育んでいく—

都市の喧騒から離れ、静寂な場所を訪れた時、自らが存在する空間 ―

鳥の囀り、風に揺れる木々、陽だまりの匂い、 あるいは ( それ以上に )自分の周りを漂う空気 ― に敏感になり、
自らが森羅万象の一部であるということを再確認することができます。

「Unexplored Peak # 1」- Mineral Project - において、自然の摂理によって形成されるそのフォルムは、
堅性と脆性の狭間で、緊張状態を生み出し、静寂と静止をもたらします。



それは祈りや瞑想の先で精神の集中が頂を迎える瞬間の隠喩であり、
この覚園寺での体験全体を指し示す象徴的なオブジェを制作しました。


















































環境に配慮した展示構成自然との関係性を言及する本展において、地球環境への配慮は重要な要素となります。
作品の展示媒体にはモニターを使用し、それらの電力供給源には可能な限り太陽光発電を用いたものを利用しました。






































-  Folklore of Beingness -

At Kakuonji-Kamakura

Collaboration Artist / Takashi Kawashima , Naoya Hirata
Scenography / Akihiro Yamaya
Graphic Design / Ryohei Kaneda (YES inc.)
Management / Studio GÁRA (GÁRA inc.)
Research / SUB-AUDIO inc.
Space Photography / Takashi Kawashima

Artist & Creative Direction /
Masaki Sugaya